椎本 その二十六
夜まで籠り中の在りし日の父宮の厳しい暮らしぶりを聞くにつけても阿闍梨のあまりにも悟り澄ました仏道一筋に凝り固まった心を姫君たちは憎らしいともあんまりなとも思う。
八の宮には出家したい意志を昔から深く持っていたが、このように後見を任す人もいない姫君たちを見捨て難くて存命の間だけでもと明け暮れ側から離れずお世話していたのだ。実にそれを侘しい暮らしの慰めともして出家にもなかなか踏み切れないまま過ごしていた。避けることのできない死出の旅路には先立たれる人の気持ちもあとに残される人の慕う気持ちも共に思うに任せられないことだった。
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