竹河 その四
冷泉院からはとても丁寧に申し込みの声がかかり、玉鬘の君が昔院の志に背いたままになってしまった悔しさまでもまた改めて恨み言を蒸し返され、
「今ではあの頃よりますます年も取り、位も降りて見苦しいありさまだからとお見限りなさるにせよ、安心な親にでも任せるつもりで、姫君を私にお預けください」
と、とても熱心に懇望したので、玉鬘の君は、
「いったいどうするのがいいのだろうか。あのとき、自分の不幸なめぐりあわせから心ならずも冷泉院のお心に背いて嫌な女だとお思いになられたのが、今となれば恥ずかしくももったいないと思うにつけ、こうして人生の終わりになって娘を代わりに差し上げることで見直していただけるかしら」
などと、心を決めかねているのだった。
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