夕霧 その六十七

 この人は大和の守の妹なので、女二の宮とは従姉妹という関係のところ、御息所が小さいときから育てていたので、とても濃く染めた橡色の喪服一揃いの上に小袿を着ている。


 夕霧は、



「こうして亡くなった人への尽きせぬ悲しみは当然ながらそれに加えて私に対しての何とも言いようのないつれない宮のお仕打ちのひどさを嘆くうちに魂も体から抜け出してさ迷っているようです。会う人ごとに様子を怪しまれるので、今はもうとても堪えることができない」



 とたくさんの恨み言を続ける。あの御息所の最後の手紙のことなど話し出し、ひどく泣くのだった。

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