横笛 その四
そこに光源氏が来た。いつになく女三の宮の近くに漆器の高坏がいくつも置いてあるのを、
「はて、何だろう」
と見ると朱雀院からの手紙だった。それを読むと、本当にしみじみ心にしみる文面だった。
「私の命も今日か明日かの気がするのに思うようにお目にかかることができないのがつらくて」
などこまごま書いてある。
この歌に「同じところを君も尋ねよ」と一緒のところへ誘ったところは、特に風情もない僧侶じみた言葉だが、光源氏は、
「いかにもそうお思いだろう。女三の宮を託された私までがよそよそしいお世話しかできていないように思われてますます女三の宮の将来の心配がつのられるのだろう」
と気の毒に思うのだった。
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