柏木 その四十二

 誰が世にか種はまきしと人問はば

 いかが岩根の松はこたえむ




「可哀そうなことです」



 など声をひそめて言うと、女三の宮は返事もしないでひれ伏してしまった。無理もないと思ったので、それ以上は光源氏は強いて言わない。



「一体どう思っていらっしゃったことやら。もともと深いお考えなどのあるお方ではないけれど、とはいえどうしてこんなことに平気でいらっしゃれるのだろうか、まさかそうではないだろう」



 と女三の宮の心を推量するのもひどく胸の痛むことだった。

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