若菜 その一二六
尼君は、
「若宮はどうしていらっしゃいますか。どうしたらお目にかからせていただけるのかしら」
と言ってはまた泣き出す。
「そのうちお目にかかれるでしょう。明石の女御も本当にあなたのことを懐かしがって思い出されてはお話になりますよ。光源氏様もお話のついでに、
『もし御代替わりして万事自分の思うようになる日が来るなら、縁起でもない話をするようだけど、尼君にはその時分までぜひ長生きしていただきたいものだ』
とおっしゃっておいでのようです。どんな考えがおありなのか、わかりませんけれど」
と言うと、尼君はもうにこにこして、
「本当、そうそう、ですから私は嬉しさも悲しさも世に例のない運命を持っているのですよ」
と喜んでいる。明石の入道の遺書の入った文箱は女房にもたせて、明石の君は明石の女御の御殿に戻るのだった。
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