若菜 その一一四
禄の衣装などは別に秋好む中宮の方からも公の祝儀以上に立派にして贈る。次々の親王たちや大臣の家々でも、その当座はお祝いにかかりきりで、我も我もとあらん限りの善美を尽くして奉仕する。
光源氏もこの度の何度かの儀だけは四十の御賀の時のように簡素にはせず、世間に例のないほどの盛大さが大評判になって大騒ぎになってので、内々の優美で繊細な風流の後々までそのまま伝えておきたいような点はそれにまぎれて人目にもつかずじまいになっていた。光源氏もやがて若宮を抱いて、
「夕霧の大将がたくさん子供を作っているのに、いまだに見せてくれないのが恨めしかったけれど、ここにこんな可愛らしい宮を授かった」
と可愛がるのももっともなことだ。
若宮は日増しにものを引き延ばすように育つ。乳母なども気心のわからない者に慌てて任せるようなことはせず、仕えている女房たちの中から家柄や性質のいい者ばかりを選りすぐって仕えさせるのだった。
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