若菜 その一一三
若宮はまだ扱いにくい時なのに、紫の上がずっと抱いて放さないので、本当の祖母である明石の君はただ紫の上に任せきって湯殿の世話などに奉仕する。
東宮の宣旨の典侍がお湯を使う。明石の君がその介添えの役を自分でするのも、典侍は深く胸を打たれる思いがする。内々の事情も少しは知っているので、もし明石の君に少しでも欠点があれば明石の女御にとって気の毒なことだが、明石の君は驚くほど気高くて、なるほどこういうような深い特別な宿縁に恵まれた人なのだと見受ける。
この間の儀式などもいちいちそのまま書くのもことさらしいというものだろう。
生後六日目に明石の女御と若宮は東南の町の自分の御殿に帰っていった。
七日目の夜には帝からも産養いを賜わった。朱雀院があのように出家しているので、その代理なのだろうか、蔵人所から頭の弁が宣旨を承って例のないほど盛大に奉仕するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます