若菜 その四十四
六条の院の南の御殿の西の放出に、光源氏の御座所を整える。屏風や壁代などをはじめ、すべて新調したものと取り替えた。格式ばった椅子などはわざと用いず、敷物を四十枚、茵、脇息などすべてこの御賀の式の道具類は、みんな玉鬘の君がとても美しく用意した。
螺鈿の御厨子二揃いに、衣裳箱を四つ置いて、四季の着物、香壺、薬箱、硯、洗髪器、櫛類などを、人目につかないところまでこの上なく美しく作ってある。挿頭の花を載せる台には、沈や紫檀の材を使って、珍しい模様で華麗に飾り立て、同じ金属でも、金、銀の色を巧みに使いこなしてあるのは、現代的な風情がある。玉鬘の君は、風雅の趣味が深く、才気のあふれた人なので、あらゆるものに斬新な工夫を凝らしている。ただ全体としては特に大仰にならないように配慮しているのだった。
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