若菜 その二十八
光源氏はさすがににこやかになって、
「この上なく可愛がっていらっしゃる姫宮だからこそ、それほどまでに来し方行く末を深くお案じなさるのだろうね。いっそ、帝にさし上げなさったらいいのに。高貴な身分の古参の妃たちがいらっしゃるという御配慮はつまらないことだ。こだわることはない。古参の人がいるからといって後から入内した人が必ず粗末にされるというわけでもない。故桐壺院の御代には弘徽殿の大后が東宮時代から早々と入内された女御として権勢を振るわれたけど、ずっと後に入内された藤壺の尼宮も一時は圧倒されたものだ。この女三の宮の母でいられる今の藤壺の女御は、他でもないあの藤壺の尼宮の異母妹でいらっしゃったはずで、御器量も藤壺の尼宮についでたいそう美しいと噂されたお方だったので、父母のどちらのお血筋からしても、きっと女三の宮はずいぶんお綺麗な御器量だろうね」
などと言うのは、やはり女三の宮に並々ならぬ関心を持っているようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます