若菜 その二十二

 朱雀院がこれほどの気にかけない姉宮たちにたいしては、求婚して院に心配をかける人はまったくいない。どういうわけか、朱雀院が内々で相談になる内証ごとのあれやこれやが、自然に外に洩れ広がって、女三の宮に思い焦がれる人々が多かった。太政大臣も、



「うちの柏木は今まで独身を通してきて、皇女でなければ妻に持たないと思っているのだから、こういう婿選びのお話が出てきた機会に、そういう希望を朱雀院にお願い申し上げて、もしお気に召して婿としてお扱くださったなら、自分のためにもどんなにか面目がたって嬉しいことだろう」



 と話す。朧月夜の尚侍には、その姉君である太政大臣の北の方から、そういう太政大臣の意向を伝えた。朧月夜の尚侍からは様々に言葉を尽くして朱雀院にその旨を奏上してもらい、朱雀院の内意を伺うのだった。

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