若菜 その十四
「本当に少しでも世間並みな結婚をさせたいと思う娘を持つ親なら、同じことならあの光源氏の側に添わせてやりたいと思うだろうね。どうせ長くもないこの憂き世に生きているうちは、あの光源氏のようにすべてに満ち足りた有様で過ごしたいものだ。私がもし女だったら、実の姉弟であっても、必ず慕い寄って睦まじい仲になっていたことだろう。若かった時などはよくそう思ったものだ。私でさえそうなのだから、まして女があの人に騙されたりするのは、本当に無理もないことだ」
と言い、心のうちでは朧月夜の尚侍のことなどを自然に思い出しているのだろう。
この女三の宮の後見たちの中でも、主だった乳母の兄に左中弁の者がいた。この者は六条の院にも親しく出入りして長年仕えていた。一方ではこちらの女三の宮のほうにも格別敬慕して誠心誠意仕えているのだった。
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