真木柱 その五十
髭黒の大将は、帝がこのように玉鬘の部屋に来ると聞いて、いよいよ気が揉めてならないので、早く退出するように、しきりに急き立てる。玉鬘自身も、このままでは帝寵を蒙るなどという不相応な事態も起きかねないと悩んだので、のんびりともしてられず、退出する口実をもっともらしくいろいろとひねり出して、父内大臣なども、上手に帝に取り繕い、やっと許されたのだった。帝は、
「それなら仕方がない。これに懲りて、もう二度と参内させないと言い出されても困るから。それにしても私ととても辛い。誰よりも先にあなたを思っていたのに、人に奪われて、今ではその人物のご機嫌を取るようになったとは。昔の恋人を奪われた誰かの例も引き合いに出したいような気がする」
と言い、思いがけない結果になったのを心から口惜しく思っているようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます