真木柱 その四十一

 紫の上もそうしたすったもんだを聞いて、



「こんなことで、私まで恨まれることになるのが辛くて」



 と嘆くのを、光源氏は不憫に思って、



「困ったことだ。私の一存ではどうしようもない人間関係から、帝も、私のことを面白くなくお思いのようなのです。蛍兵部卿の宮なども、私を恨んでいらっしゃると聞きましたが、さすがに思慮深い人だから、事情を聞いてはっきり納得され、私への恨みも解いてくださったようですよ。やはり男女の仲というものは、いくら秘密にしたつもりでいても、いつかは隠しようのなくなるものだから、それほど苦にするほどの落ち度は、こちらにはないと思っています」



 と言うのだった。

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