真木柱 その二十五
今夜も立派な新しい直衣など、間に合わせることができず、とても見苦しい姿だった。昨夜の直衣は焼け穴ができて、いかにも気持ちの悪い嫌な焼け焦げの匂いがして、異様な感じだ。下着類にもその匂いが移って、しみついている。
これでは北の方に嫉妬されて一悶着あったことが歴然としていて、玉鬘にも愛想をつかされるだろうからと、すっかり脱ぎ替えて、湯殿で体を洗い、おめかしに大わらわだ。
木工の君が、着物に香を薫きしめながら、
ひとりゐてこがるる胸の苦しきに
思ひあまれる炎とぞ見し
「すっかりお見捨てになった北の方への態度は私ども、側で拝見していても、あまりひどいと平気ではいられません」
と、言いながら恥じらって袖で口元をおおっている目つきはなかなかの色っぽさだった。
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