藤袴 その四
玉鬘は、亡き大宮の喪のため、薄い鈍色の喪服をやさしい感じにしっとりと着ている。いつもとは変わった着物の地味な色合いのため、かえって器量がいっそう華やかに引き立てられるのを、前にひかえた女房たちは微笑みながらうっとり見惚れているのだった。
そこへ夕霧の中将が、同じ大宮の喪中に、もう少し濃い鈍色の直衣を着て、冠の纓を服喪のしるしに巻き上げて来た。その姿もまたとても優雅で美しい様子だ。
夕霧の中将ははじめから、玉鬘に対しては実の姉と思い、実直な好意を寄せていたので、玉鬘のほうも他人行儀によそよそしい態度をとれなかった習慣から、今更実の姉弟ではなかったからといって、すっかり態度を変えるのもおかしいと思い、前と同じように、内側に几帳を添えて御簾越しに会い、取次なしで直々に話をするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます