藤袴 その四

 玉鬘は、亡き大宮の喪のため、薄い鈍色の喪服をやさしい感じにしっとりと着ている。いつもとは変わった着物の地味な色合いのため、かえって器量がいっそう華やかに引き立てられるのを、前にひかえた女房たちは微笑みながらうっとり見惚れているのだった。


 そこへ夕霧の中将が、同じ大宮の喪中に、もう少し濃い鈍色の直衣を着て、冠の纓を服喪のしるしに巻き上げて来た。その姿もまたとても優雅で美しい様子だ。


 夕霧の中将ははじめから、玉鬘に対しては実の姉と思い、実直な好意を寄せていたので、玉鬘のほうも他人行儀によそよそしい態度をとれなかった習慣から、今更実の姉弟ではなかったからといって、すっかり態度を変えるのもおかしいと思い、前と同じように、内側に几帳を添えて御簾越しに会い、取次なしで直々に話をするのだった。

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