行幸 その四十一

 内大臣は、



「すべて仰せの通りにいたしましょう。こんなにまでお世話いただき、めったにない養育に守られてまいりましたのも、並々でない前世からの因縁でございましょう」



 と言う。


 内大臣への贈り物などは言うまでもなく、引き出物やご祝儀など、すべて身分に応じて決まりのあるものだが、またその上に加えて、例のないほど十分にした。前に大宮の病気を理由に一度は断ったいきさつもあるので、大げさな管弦の遊びなどはしない。


 蛍兵部卿の宮は、



「裳着もおすみになった今は、もうお断りの口実になる何の支障もないでしょうから」



 と、熱心に求婚するのだが、光源氏は、



「帝から尚侍にと内意がありましたので、一応遠慮して辞退申し上げ、なおその上で、重ねて内意がございましたら、そのとき次第ということにして、他の話はそのあとでどちらとも考えましょう」



 と答えるのだった。

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