行幸 その十九
内大臣も光源氏がこうして三条の宮に来たと聞いて、
「大宮は人でも少なくひっそりしている中に、大勢のお供を従えた威勢盛んな光源氏を、どんな風にお迎えしたことか。前駆の家来たちをもてなしたり、光源氏の席を整えたりする気の利いたものもあそこにはいないだろう。夕霧も、今日は光源氏のお供を務めているだろうし」
などと驚き、子息たちや親しく出入りしている殿上人たちを急遽差し向けた。
「お菓子やお酒などを粗相のないように取り繕ってあげなさい。私もうかがわなければならないところだが、それはかえっていたずらに騒がしいことになるだろう」
などと言っているうちに、大宮から便りが届いた。
「光源氏がお見舞いにいらしてくださいましたのに、こちらは人少なで淋しく、はたの見る目もいかがと思うし、また畏れ多くもありますので、大げさに、私がこうお願いしたからというふうではなく、さりげなくお出かけくださいませんか。直接あなたにお目にかかって、お耳に入れたいことがおありのようです」
と書いてあったのだった。
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