行幸 その十一

 内大臣からは去年の冬ごろから大宮が病気になり、まだ一向によくならないので、とそれを理由に引き受けることができないと断っていた。


 夕霧も夜昼、三条の邸に詰めていて看病に余念もない、ほんとうに生憎なときなので、光源氏はどうしたものかと思案に暮れていた。



「世の中は実に無常なので、大宮がもしお亡くなりにでもなれば、当然、玉鬘は実の祖母君の喪に服さなければならない。それを知らぬ顔で過ごされるというのも罪が深いことになるだろう。やはり大宮の存命中に、真実のことを打ち明けてしまおう」



 と決心して、三条の宮を訪ねるのだった。

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