野分 その二十五
光源氏は、東の花散里のところへここから訪ねる。野分のあとの今朝がたの急な肌寒さに思い立った家事仕事なのか、裁縫などをしている老女たちが、花散里の前に大勢集まっている。
細櫃のようなものに、真綿をひっかけて、手で扱っている若い女房もいる。とてもきれいな朽葉色の薄絹や、濃い紅梅色の、またとないほど美しい艶を、砧で打った絹など、そこらにひき散らかしている。光源氏は、
「夕霧の中将の下襲ですか。せっかく用意なさっても宮中の壺前栽の宴もおそらく中止になるでしょう。こんなに吹き荒れたあとでは、何もできないでしょう。面白くない秋になりそうですね」
などと言うのだった。
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