篝火
篝火 その一
この頃、世間の人々が噂の種にして、
「内大臣の今姫君が」
と、何かにつけて言いふらしているのを、光源氏も耳にして、
「ともかく、そんな事情があってにせよ、これまで人目につかないところに隠していたはずの女の子を、いい加減な言いがかりの申し立てがあったからといって、あれほど仰々しく引き取り、出仕までさせて、今更ああして人前にさらして、嘲弄の的にさせているというのは、納得のいかないことではないか。内大臣はともかく物事のけじめを非常にさっぱりなさる性分のあまりに、深い事情も調べずに娘を連れ出してきたものの、気に入らなかったので、こんなみっともない扱いをなさったのだろう。何事もすべて、扱い次第で穏便にことは運ぶものなのに」
と、気の毒がっていた。
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