胡蝶 その三十三

 明くる日の朝、光源氏から手紙が早々と届いた。玉鬘は気分が悪いと臥せっていたが、女房たちが硯などを差し出し、



「返事を早く」



 とせかすので、しぶしぶ手紙を見る。


 見た目にはあっさりした実用的な感じの白い紙に、とても見事にしたためられている。



「たとえようもない昨夜のひどい扱いの、情けなかったことが忘れられません。女房たちが何と思ったことでしょう。




 うちとけて寝も見ぬものを若草の

 ことあり顔にむすぼほるらむ




 まったくまだ子供じみていらっしゃるのですね」



 と、さすがに親ぶった言葉も、昨夜のことを思うと玉鬘は本当に憎らしいと思うのだった。

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