胡蝶 その二十三

 庭前の呉竹が、さわやかに伸びたって、風になびいている姿に心惹かれて、光源氏は立ち止まると、




 籬のうちに根深く植ゑし竹の子の

 おのが世々にや生ひわかるべき




「思えば当然恨めしくなりますよ」



 と、御簾を引き上げて言うと、玉鬘はにじり出てきて、




 今さらにいかならむ世か若竹の

 生ひはじめけむ根をばたづねむ




「そんなことをしましたら、かえって私が困ることでしょう」



 と言うのを、光源氏はとても可哀そうだと思った。とはいえ、玉鬘の心の底では、そうは思っていないのだった。

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