胡蝶 その二十二
とはいっても、あまり初心らしく黙ってばかりいるのもみっともないと思い、
「何のわきまえもない幼いころから、親などはいないのを習慣に過ごしてきましたので、今更、親とはどのように考えたらいいのか見当もつきません」
と言う態度が、いかにもおおらかなので、光源氏は、なるほどもっともなことと思い、
「それなら世間のたとえに言うように、後の養い親を生みの親だとお考えになって、私の並々でない心の深さも、最後までよく見届けてくださいませんか」
などと、こまごま話した。内心の本当の恋心などは、きまりが悪いのでとても口に出さない。それらしい言葉は時折話の中にほのめかすのだが、玉鬘はまったく気づかない様子なので、何となくため息をついて帰るのだった。
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