初音 その二十二
こんな様子で、光源氏の庇護のもとに暮らしている女君たちは多いのだった。
どの女君のもとにも、ひとわたり顔を出して、
「お逢いできない日が多くなる折々があっても、心のうちでは決してあなたを忘れてはいないのです。ただ避けられないこの世の別れだけが気にかかります。人の寿命だけはわからないものですから」
など、やさしく言う。どの女君にも、その人相応に愛情をかけているのだった。光源氏自身は、自分こそはと思いあがってもいい身分なのに、そんなふうに尊大な扱いを女君たちにすることはなかった。場所柄や相手の身分に応じて、誰にもみな分け隔てなくやさしくするので、ただこの程度の情けを頼りにして、多くの女君たちは歳月を過ごしてきたのだった。
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