初音 その十二
まだ明けきらないうちに、光源氏は御殿に戻った。明石の君は、こんなに暗いうちから早々と帰らないでもと思うと、立ち去ったあとまでも名残惜しみ、切なさに胸がいっぱいになった。
待ちわびていた紫の上はまた、怒っているに違いないと心のうちが察せられるので気が引けて、光源氏は、
「つい、いつになくうたた寝して大人げなく眠りこけてしまったのを、こちらからは起こしても下さらなかったので」
と、紫の上の機嫌をとるのもおかしく思われる。紫の上がろくに返事もしないので、これはこと面倒と、光源氏は狸寝入りを決め込み、その日は日が高くなってから、ようやく起きるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます