玉鬘 その四十七

「もういい。事情をご存じないお方もおいでだから」



 と隠した。紫の上は、



「まあ、面倒なこと。私は眠たいので、何も聞きたくはありませんのに」



 と言い、袖で耳を塞いだ。光源氏は、



「顔や姿は、あの亡き夕顔に劣らないか」



 などと言う。



「お子さまといっても、必ずしも母君ほどのお美しさだとは限るまいと思っていましたが、母君よりもずっと美しく成人なさっていらっしゃいました」



 と言うと、光源氏は、



「ずいぶんと自信あり気だね。私に似ているなら、心配はいらないけれど」



 と、まるで実の親らしい言い方をした。

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