玉鬘 その十四
乳母は、
「まあ、どうして渋ったりいたしましょう。そのようにおっしゃってくださいますのは、まことに幸せと存じますが、何分にも前世の因縁がよくよく悪いのでしょうか、恥ずかしい仔細がありまして、どうして人前にお目にかかれようかと、本人も人知れず悲しんでいる次第でして。私どもも可哀想で困り果てております」
と言った。大夫の監は、
「何のご遠慮には及ばぬ。万が一、目がつぶれ、足が折れておられようとも、拙者がお世話してお治し申そう。肥後の国中の神仏は、全て拙者の言いなりでござるて」
などと、得意になって大言壮語している。
玉鬘の迎えは何日頃にと、強引に決めようとするので、
「今月は季節の終わりで、縁組には不吉ですから」
などと、田舎じみた迷信を言い立ててその場を逃れた。
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