玉鬘 その七
誰の子であるとは、大宰府の同僚たちにも知らせず、ただ自分の孫で、大切に育てなければならないわけのある子だとばかり、言いつくろってきたので、玉鬘を誰にも見せず、この上もなく大切に育てていた。
そのうち、少弐はにわかに亡くなってしまった。残された乳母たちは悲しく心細くて、ひたすら京へ旅立とうと支度するのだが、少弐と仲が悪かった土地の者が多かったりするので、あれこれと妨害を恐れたり、気を遣っているうちに、心ならずも年を過ごしてしまった。
その間にも玉鬘は成長するにつれ、夕顔よりもいっそう綺麗で、父頭の中将の血筋まで加わったせいか、気品高くそれは可愛らしくなった。性質も鷹揚で申し分ない。
そんな噂を聞き伝えて、色好みな田舎者たちが懸想して、恋文を寄越したがる連中が引きもきらない。乳母たちは忌々しいやら、あきれかえるやらで誰一人として取り合おうとしなかったのだった。
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