乙女 その七十六

 そのほか、女房たちのいる曹司町なども、それぞれに部屋をきめこまかく割り当てるのが、女房たちにとって何にもまして行き届いたことだと思われた。


 五、六日過ぎてから、中宮から退出してここに里下がりした。この儀式がまた、簡素にということだったが、そうはいってもとても盛大なものだった。幸運のすぐれているのは言うまでもないことだが、人柄が奥ゆかしく、重々しかったので、世間から重んじられ尊敬されているのは、普通ではなかった。


 この四つの町々の間の区切りには、堀や渡り廊下などを造り、お互いに行き来するようにして、睦まじいお付き合いをするようにと、配慮されているのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る