乙女 その五十一

 泣き腫らした目元を女房に見られるのも恥ずかしい上に、大宮はまた呼んで側から離さないだろうから、気のおけないところへと、急いで出かけるのだった。


 その道々も、これは人のせいではなく、我から求めた苦しみなのだと、心細く思い続けていると、空模様もひどく曇ってきて、あたりはまだ暗いのだった。




 霜氷うたてむすべる明けぐれの

 空かきくらし降る涙かな

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