乙女 その二十四
大宮は、
「どうしてそんなことになりましょう。この家から后になる方が出ないままで終わるようなことは決してあるまいと、亡き大臣もお思いになって、弘徽殿の女御の入内の際も、御自身で熱心に奔走なさったものです。もし生きていらっしゃったなら、弘徽殿の女御が立后から外れることなどという筋の通らないことも起こらなかったでしょうに」
などと、光源氏に対しても、このことだけは恨めしく思っていた。
雲居の雁の姿がまだいかにも幼くて可愛らしくて、筝の琴を弾いているときの、髪の下がり方や、生え際辺りが、上品で若々しく美しいのを、頭の中将がじっと見つめているので、雲居の雁は恥ずかしがって少しわきを向いた。その横顔の頬のあたりがいかにも可憐で、左手で絃をゆるがせる手つきが、まるで見事に作られた人形のようにかわいらしいのを見て、大宮も限りなく愛しく思った。
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