乙女 その二十三

 頭の中将は、



「女はただ心がけ次第で、出世するものですね」



 など、人の噂話をはじめ、



「私は弘徽殿の女御を普通以上に、何ごとにつけてもひけをとらないように育たれたお方だと思っておりました。ところが思いもかけなかった梅壺の女御の立后の先を越された不運を見るにつけ、この世は意外なことの起こるものと思い知りました。今はせめてこの姫君だけでも、何とかして願いどおりにしたいものです。東宮の元服ももうすぐのことになりましたので、ひそかに東宮妃にもと考えておりましたのに、今お話の幸運なお方のお生みになった姫君が、后の候補として、また追いすがってきました。この方が入内なさったら、とても競争できる人はいないでしょう」



 と嘆息した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る