乙女 その十八

 その幸運は、不幸だった母の六条御息所とは打って変わって優れていると、世間の人々はすっかり驚いている。


 光源氏は太政大臣に昇進し、頭の中将は内大臣になった。光源氏は、天下の政治は頭の中将が執るように実権を譲った。頭の中将は人柄がとても剛直で派手な面もあり、威儀も立派で、心遣いなども格別に賢明だった。学問をとりわけ熱心にしたので、あの韻塞ぎでは、昔、光源氏に負けたが、政治の実務について詳しくて有能だった。


 多くの夫人たちが生んだ子が十人あまりいて、それぞれ成人した人々も、次々に立派な官職につき、光源氏の家系に劣らず栄えている一族なのだった。

 姫君は弘徽殿の女御のほかに、もう一人いた。母君は王族で、血筋は高貴な点では弘徽殿の女御に劣らないのだが、その母君は頭の中将と別れて按察使の大納言と再婚し、そちらにも大勢の子供が生まれていた。

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