乙女 その十五
頭の中将が大内記にしきりに盃をさすので、すっかり酔っ払ってしまった大内記の顔は、ひどくやせこけていた。この人は人付き合いもしないとても変わり者だった。学才のあるわりには出世できず、人から見捨てられて貧乏していたのを、光源氏が見所があると見込んで、夕霧の学問の師として、こうして特別に召し出されたのだった。身に余るまで目にかけていただいて、この夕霧のおかげで、突然運勢がよくなったことを思うと、まして将来は、肩を並べる人もいない世間の評価を得ることが出来るだろう。
夕霧が大学寮受験のため、大学の寮に入った当日は、寮の門前に上達部の車が数知れず集まっていた。およそ世間にここに来ない人はいないだろうと思われる有様だった。そこに侍者たちにかしずかれて、装束など見事に着付けされて入ってきた、元服したばかりの夕霧の様子は、まったくこんな貧しい学生の仲間入りには不釣合いで、いかにも上品で可愛らしく見えたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます