乙女 その十六
例によって見すぼらしい風采の学者たちが入り混じっている座の末席につくのを、辛いと思うのも、たしかに無理のないことだ。
ここでもまた、大声で学生をしかりつけている学者たちがいて不愉快なのに、夕霧は少しも気後れせず出題された箇所をスラスラと読み終えた。
今は、昔の盛んな時が思い出されるほど、大学の栄えている時代で、上、中、下のどの階級の人々も、こぞって我も我もと学問を志して集まるので、ますます世の中には学問ができ、能力のある人が多くなってきた。夕霧は擬文章の生などとかいう試験をはじめとし、どれもスラスラと、みな合格してしまった。それからは師も弟子もますます熱心に打ち込んで勉学に励んだ。
光源氏の邸でも漢詩を作る会がしきりに催されて、学者や詩文にすぐれた人たちは得意顔だ。詩文に限らず、何ごとにつけても、それぞれ道に才能のある人々は、すべて実力が発揮できて認められる時代なのだった。
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