　それもいよいよ入内が今日となっては、もう中止できることではないので、万事しかるべきように命じ、信任の厚い修理の宰相に、こまごまと世話するように言いつけ、参内した。

　光源氏は朱雀院に気兼ねして、表立って親代わりというように思われないようにと、普通の機嫌伺いのように見せかけている。

　六条の斎宮の邸には、昔からすぐれた女房たちが多かったのだが、いつもは里に下がりがちだったものも、今は皆集まってきて、申し分ない望ましい雰囲気なのだった。

「ああ、亡くなった六条御息所がおいでだったら、どんなにし甲斐のあることと思って、お世話をしたことだろうに」

　と、光源氏は、昔の六条御息所の気性を思い出していた。

「自分との関係を抜きにして、世間一般の目で見れば、いかにも惜しまれる素晴らしい人柄だった。あれほどの人は滅多にいない。ことに趣味教養の方面では、何といっても抜群だった」

　と、何かの折につけては思い出すのだった。

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