もう人数は関係ない???

「失礼しまーす…」

春香が牧野の荷物を持ってやってきた。

「あ、桃井さん。わざわざありがとう。助かったわ」

「いえ」

教師は、保健の教科書とパソコンを交互にみて作業をしていた。

そこから少し離れたところにあるソファに牧野が横になっていた。春香に気付くと、教師に気付かれないように、ピースサインをする。

「ちょうどよかったね」

春香は小声で話しかける。

「ああ、バレそうにないよ」

「じゃあ、行くね。先生ー失礼しました」

「はい、桃井さんも気を付けてね」

「はい、わかりました」

(かかるわけないじゃん)


次の日、インフルエンザから回復した1人と充は戻って来たが、インフルの2人、千里、昨日調子が悪くて保健室に行った1人、牧野、そして新たに3人が休みとなった。しかし、10人には届かない。


(どうするかな…昨日の方法をまたやるのはやめたほうが良いだろうし…)


チャイムがなり、1限になったが教師は現れない。

(何かあったのかな?)

隣のクラスは普通に授業をしているようだ。


しばらくすると担任が紙束を持ってやって来た。

(お、これは…?)

「えー、学級閉鎖になりました」

『えー!』

素直に喜ぶ者、ただただ驚く者、怒る者、どういう事なのか担任を問い詰める者などでクラス中が一気にざわついた。

「あの、10人にはなっていませんが、この中で体調が悪い人も何人かいるようなので、3日間休みにします」

『やったー!』

今度は一斉に歓声が上がった。

「詳しいことはこれに書いてあるから。くれぐれも体調管理を怠らないようにして下さい」

生徒たちに紙が配られた。

今日は木曜なので、実質2日間の休みとなる。

「土曜も含め外出は控えて下さいね」











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る