二の乱  お姐様三人組

プールサイドに集められた小学生クラスだが、高学年は真緒と拓海と博和しかいない。

下にいるのは、小学二年生が男子二人と女子二人、小学一年生が男女一人づつ、あとは幼稚園の子が男女あわせて六人だ。

野辺が、並んでいる三人の女性コーチを紹介する。

「今日から、皆の年少クラスを担当する三人のコーチです。一人づつのご挨拶があります。静かに聞いて下さい」

先ずは、藍色のポニーテールの若草色の競泳水着をした女性が挨拶する。

「今井恵美です。今日からこちらでお世話になります。皆さん、宜しくお願いします」

次は真ん中の眼鏡をかけた濃い緑色の競泳水着を着た女性で、キリッとした目をしていた。

「土肥律子、ここに来るまでは和歌山の大きなスポーツクラブでインスタントラクターをしていた。水泳コーチは始めての体験だけど、皆を中学や高校、大学、仕事を始める年まで水泳を切り離したくないと思えるくらい教えてあげるわ」

かなりの体育会系のスパルタコーチのようだ。

最後に、薄い紫色の競泳水着を着た黒い髪を後ろでお団子にしてパチリとした目の女性が挨拶した。

「佐々木巴です。今年大学を卒業したばかりなので、まだまだ社会人としては半人前ですが、昔お世話になった吉田コーチや野辺コーチと同じプールでレッスンが出来るから嬉しいです。みんな、宜しくね」

「りっちゃんにともちゃんに、めぐちゃんか、かわいいらしいよな」

真緒がボッソと言うと博和が、

「おいおい、三人とも年上じゃん、女子大生の姉ちゃんたちがしてくれると思ったのに…おっぱいはでっかいけどな」

拓海はすでに、三人のうちの誰かに見惚れていた。

「こら、藤堂博和、今、私たちのスタイルがいいとどうとか言ったな。今は子供だろうとセクハラになる。自宅で両親に、学校で先生から習わなかったか?」

律子は地獄耳なので小さな言葉も聞き逃さなかった。

「りっちゃん、俺、言ってないよ」

「コーチか先生と呼べ、年上には敬語だ」

「ほーい」

「はいだろうが、罰として…」

律子に手を引っ張られる博和、「うわ、何すんだ。体罰反対」と言って反抗したが、「ほら、頭を冷やしてこい。バカ者」と勢いよく、プールに放り込まれた。

さすがに、これには、真緒、拓海、そして、周りの子供たちもびっくりしてしまい、泣き出してしまった。

「ぎゃあ、助けて」

「ほら、どうした?大口叩く根性があるなら泳いでみろ」

「律子、やり過ぎよ」

「そうよ」

恵美と巴が律子を制止する。

「博和!!」

「大丈夫か!!」

拓海と真緒は、博和を助けに走る。

この最低最悪な悪女たちの出会いは、この後、まだ世間を知らない少年たちをさらに騒動に巻き込んで行くのは、まだ、知るよしもなかった。





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