第27話 後援会
高杉は次の選挙に向け動き始めた。とは言えこれまでの主な支援者はことごとく小泉たちに壊された。全く新たな支援者を探さねばならない。元々日新の会はカリスマ弁護士と言われた山下が立ち上げたものだ。全国規模で支援者が相当数いる。高杉はまずネットでアポロ市民に訴えかけた。「この度関東で初めて日新の会の支部が立ち上がりました。只今、サポーター大募集中」これがある程度の反響を呼んだ。又、駅頭での活動も徐々に認知されて来た。元々市会議員の頃から駅頭を行っていたので知名度はそれなりにあった。自由党とは関係なく個人的に高杉を応援してくれる方々もいる。何やかんやで3ヶ月で500人ほどの支援者を集める事ができた。「よし。これである程度選挙は戦える。あとは主だった人10人程度を決め、その方々を頭に10程度の講演会を立ち上げよう」
まずは核となる人間を10人ほどピックアップし後援会の立ち上げをお願いした。「5人でも10人でもいいんで会を立ち上げて下さい。その位の人数の方が小回りが効いてかえっていいんです。よろしくお願いします」ボクシング関係、同級生、仕事がらみ、サッカー関係等々。又、以前からの後援会で存続したものも合わせどうにか10の後援会を作る事ができた。これを全て合わせたものを連合後援会とした。「さて、連合のトップは誰にやってもらおうか」小泉達の目が光っているので町会、役所関係の業者、青年会関係は無理だ。又、ある程度の実力者でなければならない。高杉は木暮に相談した。「会長。今度の選挙での後援会長お願いできませんか」「お前なー俺は表舞台には立たないの知ってるだろう」「えーそれは重々わかってます。ですが小泉達に気兼ねして誰もやってくれる人間がいないんです。お願いできませんか」「ダメだな。他を当たりなよ」
高杉は途方に暮れていた。全く小泉達と関わりを持たない人間となるとなかなかいない。
「そうだ。ボクシング関係なら奴らなんか全然関係ない。ボクシング関係で知名度があって時間もあるとすればあの人しかいないな」高杉は元世界チャンピオンの小林を訪ねた。小林は元ライト級世界チャンピオンで芸能活動もしていた著名人だ。今は引退し悠々自適の生活を送っている。高杉とはボクシングを通して知り合いお互い大酒飲みで意気投合した飲み仲間であった。
「小林さん。お願いがあります。今度の選挙の後援会長お願いできませんか」「はっ。高杉さん何言ってんの。私はアポロ市民でもなんでもないよ」「いや。だからいいんです。皆んな現市長に気を使ってやってくれないし小林さんの様な著名人であれば勝機も生まれます。何とかお願いします」「まーねー。今の市長には相当やられてるって噂では聞いてたよ。息子さんもボクシング頑張ってるし他でもない飲み仲間の高杉さんの頼みじゃしょうがないか」「ありがとうございます」「でも私は選挙はわからないよ」「大丈夫。実務は他の者がやりますから。演説会の時などにちょっとご挨拶を頂ければ十分です」「わかりました。やるからには勝ちましょうね」「ありがとうございます。頑張ります」
「よし。これで戦える。まずは新開。そして小泉だ。待ってろよ」
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