第6話 1期目
平成13年4月こうして高杉涼の市会議員としての1期目が幕を開けた。同時に3つある会社も徐々に番頭に任せる様にしていった。
高杉は自由党推薦無所属で当選した。当初は数々の妨害を受け頭に来ていたのですぐに自由党に入るのはやめようかと思っていたが初登庁してみると既に自由党の控室に高杉のロッカーはあった。「なんなんだ一言もなしか。随分傲慢な党だな。普通なんか連絡くらいないか」と思ったが推薦を受けるということは当選したら必然的に自由党に入るということらしいと言うのを後から聞いた。
自由党同期1期生は全部で10名。ここ数年では最も多い人数だ。もちろん自由党内では最大派閥だ。この時の申し合わせで同期では年功序列できちんと役職は回して行こうと約束した。この時の10名は年齢層も幅広く上は60歳〜下は30歳までいた。高杉は下から数えて4番目の37歳だ。この期は良く同期で視察に行った。同期というのは仲間意識が強いものだ。この時は将来この同期がばらばらになるとは高杉は思いもしていなかった。
そしてこの年議会構成に変化が現れた。民生党が割れたのだ。民生党には高杉たちの同期が3名いた。民生党の議員はこの時全部で9名。この3名が自由党側についたのだ。時の定数は45名。過半数は23名だ。時の自由党議員は21名。この3名を加えると24名。過半数を超えるのだ。この民生党の新人の中にいた大石が実は民生党の母体である大正会の大幹部でアポロ市大正会のNO2であった。先輩議員の6名も頭が上がらない存在だったのだ。渡辺は大石に目を付け接近した。国会でもこの時には自由党と民生党が連立を組んでいる。地方でもしっかりとタッグを組んでやるべきだ。この考えは大石も同じだった。3名が割れた。元々民生党の現職6名は生粋の大正会会員ではない。大石は今後は生粋の大正会会員で民生党を組織しようと考えていた。その意味でもこの6名は大石にとっては邪魔者だ。これにより長きにわたり取れなかった議長の椅子が自由党のものとなった。副議長は流れから行けば民生党だが渡辺は欲が出た。自分が手を上げたのだ。選挙の結果は同数。前代未聞のじゃんけんで渡辺が勝ち副議長に就任した。
渡辺と大石には共通点があった。お互いに考えが黒なのだ。これ以降二人の関係は蜜月のものとなっていった。
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