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画面に映し出された黒き異形、それが放つ突進の勢いを乗せた大剣の鋭い突撃を、その大剣とは反対側へと
そうする事により、黒き異形は突きから薙ぎへとその放たれた剣筋の軌道を"
その繰り出される薙ぎ払い動作の交わる瞬間となる場所へ、手持ち無沙汰となってしまった状態の、無防備といえる左腕を巻き込ませるかの様に差出し、相手の突進軌道を無理やり脇下へ固定させるために破損覚悟で絡ませる。
装甲となる金属の破断・破損する音と共に走る強い衝撃、それに伴い左腕の状態表示に
そんな
さらに機体を相手側へと半回転させそのままこちら側に引き込み、引き込みと共に逃げられない様に右手の副兵装となる短剣を相手の脇下を通して首と思われる箇所へと勢いよく突き刺して抑え込む。
そう、避ける事をやめ"捕まえる事"にしたのだ。
ようやく捕まえたこの時を逃さす訳にはいかない。それに、今の今まで隠しに隠しておいた特殊兵装を使うための下準備もそろってもいるのだから。
その特殊兵装は、先ほど貫かれ破損した左腕の脇下を潜る様に背部から勢いよく移動し、黒き異形の胴体へと突き刺さる形で固定された。
「コレで
その言葉とほぼ同時に、
その衝撃元なる先ほど固定された兵装から、一筋の光弾が放たれたのだ。
いや、光弾というには語弊があるのかもしれない、それは凄まじい光を発し、まるで光の柱を形成しているかの様に見えてしまっていた。
それは、今の今まで貯めに貯めた魔力の光弾と言われる一つの
その放たれた
その光弾が通り過ぎた後には、その胴体と思われる部分が上下へと解れ、二つの存在へと変貌した黒き異形が存在しているだけであった。
それでもなお、片腕で支えられた黒き異形の上半身と思える部分は、その束縛から離れる様に暴れ続ける。
これ以上の戦闘はこちらも考えていない、ならばと首元へと突き出していた短剣を強く引き、さらに相手の頭部と胴体との繋がりを断ち切ろうと、その残る出力で切り裂くこと半分以下へと到達したと同時ぐらいに、黒き異形はどこにその力が残されていたのか解らないほどの力で、こちらを振りとばされてしまった。
自身も|兵装機械(ストロイェ)も満身創痍という言葉を今まさに体現しているのだが、それでも気を休める訳にはいかない。
目の前の地面にいる黒き異形に注意を注ぐ。黒き異形は痙攣の様な振動を発し続け、分離した箇所や切り裂いた箇所からは、まるでその異形に酷似した漆黒の液体が滴り落ちては水溜りの様な場所を形づくっていた。
しばらく、残った片腕と短剣を構えながら、様子を見つづける形の態勢でいたのだが、黒き異形は痙攣の様な脈動をしていただけにすぎず、時間が過ぎていくほどに次第にその力強さを衰えさせ、ほどなくして微動だにしなくなった。
かと思えば、次の瞬間にはまるで黒い胞子となり、虚空へと飛んでは消えていった。
そう、それはその存在が無かったかのように、その存在すべてが消え失せていったのだった。
(終わった・・・のか・・・)と、安堵が訪れるが、それでも尚警戒を怠る訳にはいかない。
こういう時ことそが一番危険とも言われる時なのだからと、そう自分への戒めを行いながら辺りを見回せば、先ほどまで行っていた戦闘のせいか、周囲の地面はめくれあがり、少なくない木々は薙ぎ倒され、至る所に戦闘の跡が残っており、草原から完全な荒野という状況になっていた。
周囲を画面表示から危険が無いかと警戒をしていた際に、すこし遠目に見える箇所に黒い煙が上っている寒村らしきモノを視認できた。
それ以外は、特に危険もないと判断して警戒を解き、力が抜けた矢先に、騎乗していた
視界の状況から鑑みるに、立ち続ける事が出来ないために、膝を地につけてしまった恰好という形でもあった。
(かなり、無理をさせたか・・・)
騎乗する区画から追い出されるかの様に、転送機能によって
ゆっくりと振り向けばいつもの旅用の背負い箱、その後には至る所に無数の傷がついているその胴体、上腕部分から大きくもがれている状態の左腕、そして最後の光弾を放った影響で破砕し見るも無残な状態でかろうじて存在している事がみてとれる特殊兵装をその脇下に抱えたままの状態で、膝を折りながらもこちらを見つめているかの様な人型の機械が、まるで"とても疲れた"という表情でそこに存在していた。
「付き合わせてすまなかった。後はゆっくり休んでくれ。」
そういいながら、左腕にはめている腕輪の結晶体部分を|兵装機械(ストロイェ)へと向ける。
"労いという言葉"、としてはいささか少ない物だとは思うのだが、そこは長年つれだってきた相方である。
その言葉が通じたのかどうかは実際には解らないが、低い唸り声の様なモノが聞こえた後、白い光となり掲げた腕輪の結晶体の部分へと吸い込まれる様に消えていった。
(しばらくは修繕の為に使えないだろうな)
光の粒子が全て消えていくのを確認し腕輪に触れて|格納封印(ルーティン)を終えた後、青い部分が赤く染まりあがったのを確認し、いつも使用している背負い箱を肩に軽くかける形で背負い、急ぎ煙が立ち上る寒村の方へと走り出した。
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設定
〇
各々の
その殆どは魔動炉に直結させて駆動させるモノが多く、使用後には出力低下が免れない。
特殊兵装や特殊技能は各
現代機にも同等の兵装が装備されてはいるが、こちらは兵装へ直結して駆動する物が主である。
何故なら、現代機において特殊技能型を使用すると、過度な負荷を機体へと発生させると、その後、極端な活動阻害や機能停止にもつながるためである。
その点、古代機においては自己修復機能において、その負荷を修繕しながら緩和させるという力業で対応していたりする。
そのため、現代機で自己修復機能が無いために特殊兵装型が多く、特殊技能型は少ない傾向にある。
〇
封印された
だが、現代機においては、格納庫や修繕屋によって修理・修繕を行う必要があり、場所や人が必要になるがが、古代機は
この点が現代機とは大きな相違点となり、古代機が高額な物となってしまっている原因にもなっている。
また、修理・修繕の時間に関しては、各
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