第20話 理由(後)
あかり「話そうか、いろいろ。あの日の事」
なおと「あの日の事?」
あかり「私達が今の関係になった日のこと」
あの時はすごく驚いて、まるで夢を見ているようで現実味がなかった。でも、幸せだった。今は、その関係が壊れようとしてる。
あかり「あの日ね、調理実習の時に本当はなおとくんに渡そうかすごく悩んだの。でも、ゆうかが背中を押してくれて、渡そうと思った」
なおと「うん」
あかり「でも、私が渡す前に立花さんがなおとくんの名前を呼んだ時ね、怖かったの」
なおと「え」
あかり「もしかしたらなおとくん、立花さんのカップケーキ受け取っちゃうかもって思って…。でも、帰ってきたなおとくんの手には何も無くてすごくホッとしたの。告白する時もね、経った二文字がなかなか言えなくて、でも、言ったらなおとくんの見たことない表情にキュンとしちゃって心臓がもたないんじゃないかって思うぐらいいっぱいドキドキして」
ふわっと私の体をなおとくんが抱きしめた。
言葉を続けようとしても、いっぱいいっぱいで、心の中がとても満たされて、それ以上続けることができない。そして私の目からは1つ、また1つと涙がおちる。
なおと「ごめんね。あかりの気持ちちゃんと考えてなかった。朝に少し距離とろって言われてすごくそれが嫌で、だからすぐにでもどうにかしたくてしんじに相談したんだ。話していろいろ整理出来たから、立花さんに謝ってほしいって言った。あかりにももう関わらないでほしいとも言った。僕の大切な人がもう傷つくところはみたくない。ごめんね」
あかり「ばか」
なおと「うん」
あかり「大好き」
私の涙はまだ止まりそうにはないけど、彼の言葉はとてもとても嬉しかった。
なおと「でも、島谷くんはあかりを狙ってたと思うよ」
あかり「え」
なおと「あかりは可愛いからね」
なおとくんは笑顔でそんな事を言う。
授業をとてもサボりたくなる。彼から離れたくなくなるのだ。きっと私はもう彼に溺れてしまってるのだろう。恋をしないと決めたあの日が懐かしい。
なおと「なんか授業でたくなくなるね」
あかり「そうだね」
しばらくして隣同士に座り直し、のんびりお昼ご飯を食べていた。携帯をみると、もうあと2、3分でチャイムがなる頃だ。
なおと「サボったら怒られるかな?」
あかり「学級委員さんがいいの?」
彼は「うーん」とちょっと悩んでから笑顔で答える。
なおと「僕はあかりと一緒ならなんでもいいや」
自然と笑みがこぼれてしまう。
きっと彼も私に溺れてしまってるのだろう。
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