第10話 バレンタインデー

2月14日

-10:00- 駅前

今日はしんじくんとゆうかとダブルデートの日です。

私が駅に行くともうしんじくんとゆうかがいた。でもあと1人の男子は来ていない。あれから何度かしんじくんに聞いたが秘密の一点張りで言ってはくれなかった。


ゆうか「あかりー!」

あかり「ごめんね、待ったかな?」

ゆうか「全然!私も今来たところだし!」

あかり「そっか、それであと1人は?」

しんじ「まだっぽい。早く来いって言ったんだけどなー」


誰がくるのか少しドキドキしていた。


しんじ「あ、おーい!遅いぞー!」


しんじくんがみてる方向に目を向ける。

私は彼をみて少し嬉しかった。よかったとまで思ってしまった。


なおと「ごめん、ちょっと忘れ物して帰ってたら遅くなっちゃった」

しんじ「もうおっちょこちょいだな」

なおと「ごめんな」

ゆうか「んじゃあ行こっか!」

しんじ「そういえばどこ行くか聞いてないけど…」

ゆうか「まあ、着くまでの秘密!」


それだけいい、ゆうかは改札に入る。

電車にのって30分ほど行ったところで降り、駅をでるとそこは遊園地だった。


ゆうか「はい、チケット!」

あかり「あ、ありがとう。でもお金…」

ゆうか「いいよ、いいよ!日頃の感謝をこめてってことで!じゃあ入ろ!」

しんじ「あ、ちょっと待てよ!」


ゆうかが走っていってしまうので、その後ろをしんじくんが追いかける。

2人をみてると学校とは違う感じがした。とても恋人っぽくみえた。


なおと「本当によかったのかな…。しんじも何も言わないし…」

あかり「何も言って無いわけじゃないみたい」


そういい私は前の2人に視線を向ける。

なんだか言い合ってるような感じにだった。多分しんじくんもこの事を知らなかったのだろう。でも、少しずつ言い合いは収まり2人とも笑顔になっていた。


あかり「私たちも早く行こっか」

なおと「うん!」


しんじくんとゆうかに続き私たちも遊園地の中に入る。ジェットコースターやメリーゴーランドいろんなアトラクションがあった。順番にいろいろ乗り、気づいたらお昼になっていた


しんじ「ここらで休憩するか」

ゆうか「お昼買ってくるよ!何がいい?」

しんじ「俺も行くわ」

ゆうか「え、いいよ!しんじは待ってて!」


ゆうかの言葉を聞かず、しんじくんは歩いてお店のほうに行ってしまった。ゆうかは「待ってて」とだけいいしんじくんを追いかけて行った。それから少ししてからしんじくんからなおとくんにメールが来た。


「少し別行動させてもらうわ。なおともうまくやれよ!」


私もそのメールを見てしまってたので、なおとくんは少し苦笑いをしていた。


なおと「あかりさんがみるってことは考えてなかったのかな…?」

あかり「しんじくんのことだからきっと考えてたと思う」

なおと「そっか」


なぜか会話が弾まない。話題を探すがでてこない。いつも学校の帰り道2人で話しているのと変わらないのに、なぜか緊張している。さっきのしんじくんのメールのせいで、今はなぜか彼の顔がみれなかった。


それから10分経ったがしんじくんとゆうかは戻ってこない。


なおと「しばらくは帰ってこないかな」

あかり「え?」


やっとなおとくんが口を開いた。


なおと「いや、2人きりになりたいよなーって思って」

あかり「あ、確かに…」

なおと「時間もったいないし、僕達は僕達で行動しよ」

あかり「うん、そうだね」


なおとくんが歩き始めたので、私もその後に着いてく。そしてふと気づく。これは学校帰りとは違うということを。今日はダブルデートということで遊園地に来ている。しんじくんとゆうかは今は2人でデートしてるのだろう。ということは私達の今の状況は…


あかり「デート」

なおと「え…?」

あかり「これってデート、だよね…?」


なおとくんは一気に顔が赤くなる。耳まで真っ赤だ。


あかり「なおとくん…?」

なおと「あかりさ…あかり」


突然名前を呼び捨てされて、ドキっとする。


なおと「僕、今日あかりがくるってしんじに言われてきたんだ」

あかり「え?」

なおと「あかりとダブルデートしたかったから」


なぜか鼓動が早くなってる気がする。


あかり「なおとくん…」

なおと「あかりの今日、僕がもらってもいいかな?」


とても恥ずかしく、顔を逸らしたいのに彼の目が私を捉えて離してくれない。いや、私が自分の意思で逸らしてないのかもしれない。

前にもこんな時があった。あれは確か前の彼氏を好きになった時だった…かな…?


???「あかり?」


どこかで聞いたことのある声で名前を呼ばれた。振り返るとそこにいたのは前の彼氏の田中はやとだった。


あかり「はやと…」





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る