第55話 バカ問のお隣さん

「そういえば師匠」

「なんだい筆夜くん」

「なんだ?この始まり方」

 しかし我々にそれをどうする権利はない!なぜなら物語は物語のキャラクターたちが紡ぐからだ!

「そしてなんだこのナレーション」

「私両隣さん家にあいさつに行ってないんですけど行ったほうがいいですかねぇ?」

「そういやぁそうだな、忘れてた、ここんとこドタバッタンだったからな」

「え、それにどんな人か知りたいし」

「別にたいしたこと・・・いやあるな、あんまりかかわりたくないけど、特に左側のやつは」

「そんな奴なんですか?」

「まぁな、よしバカお前も行くか」

「気乗りしないが行こうかな」

「よし行くぞ、でも手みあげの一つ必要じゃないか」 

「え、そうですね、絵でも持っていきましょうか」

 筆夜は書いていた絵を数枚持っていくこと、バカはというと何もなかったのでチュウが持っていたよくわからない温泉のタオルを持っていくことにした。

 

「まずは右からだ」

「そういえば正面はいいんですか?」

 チュウさん家の前は大通りになっておりその向こうには食堂が一軒ある

「あそこはやってるかどうかというか人がいるかすら怪しいからないいだろ」

「そうなんだ」

「じゃあいくぞ」

 右も左もふつうの一軒家である、とても変わった人がいるようには見えないが

ピンポーン

「ハァイ」

「外人みたいな声だな」

「ああ中国人みたいな」

「中国人だからな、多分」

ガチャと音がして出てきた男、それはザ・中国人という姿をした男が出てきた

さらに手にはチャーハンを持っていた。

「この人がお隣の・・・」

「お隣NO.01中国かマンさんとチャーハンさんだ」

「は、はじめまして」

「はじめまして」

「ゴテイネイニ、どうも」

「・・・」

「いやあいかわらずチャーハンさんは無口ですね」

「おいチュウあれはただの」

「チャーハンさんはチャーハンさんだぞ、他の名の者でもないぞ」

「あっそうなの・・・」

「隣に住んでます筆夜と申します」

「バカです、あの中国かマンって・・・」

「偽名です」

「あっそう」


「最初っからあんまり関わりたくないような奴だったな」

「問題は次だよ」

「え、先ほども言ってましたね」

「覚悟しておけよ」

 あのチュウがあそこまで言うとはそれなりの覚悟が必要と自覚したバカと

あのチュウさんが言うくらいだからすごい面白い人だろうと期待する筆夜

2人の考えは違うがその二つを混ぜたような答えが返ってきた。

「ちくわ!!!!!」

 突如左隣の家の窓ガラスが割れ奇声と共におばさんが転がりだしてきたのだ

「な、なんじゃ」

「えーとなのな、これが左隣のおばちゃんさんだ」

「ちくわーーーーー」

「現在ちくわトランス中だ」

「うわぁ」

 バカが近年まれにみる関わりたくないという目をしていた。

一方で筆夜ちゃんはというとお目目をキラキラさせていた。

「いや~まいったね今日もちくわがうめぇ、ん?あんたらなんだい人の食事光景見にきて気持ち悪いねぇ」

「いやあんたのほうが」

「なんか言った」

「いえ」

 バカは動物的本能からきれいな土下座フォームへと変形していた。

「バカ、お前・・・」

 それは近年まれにみる憐みの目だったという。

「あのおばちゃんさん、私隣にこしてきました筆夜と申します、よろしくです」

「同じくよろしくです!!」

「あらそうだったの、まぁどうでもいいけど、私食事の途中だけど」

「いつものちくわですよね」

「そう、ちくわ神の食べものだからね」

 なんかエビフライさんが暴走したらこんな感じなのかなと思うバカであった。

「そうだこれあげる」

 そういうとおばちゃんは割れた窓ガラスへと戻り段ボールを持ってきた

「これは?」

「開けてみ」

「これは・・・」

 それは私が作りましたと書かれていたちくわであった。

「なかなか売れなくてね、あげる」

 そりゃあんたが作ってりゃ食欲もなくなるわ、と言いかけたが同じ轍は踏まないバカ君でした。



「な」

「すげー隣だな、まだインチキ中国人はいいけどあのおばちゃんって人やべーよ警察に連絡したほうがいいんじゃ」

「いや、ちくわあげてれば基本大丈夫だから」

「ちくわがあるからああなんだろ」

「でも面白いです!こりゃあいい絵がまた描けますよ!!」

「ほんとかよ」

 この日筆夜が作った絵はちくわとチャーハン関連のものばかりでなんか微妙な作品ばかりだった(後日チュウは燃やした、筆夜に文句言われてた)

    つづく

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