第54話 ここは地獄の・・・

「なに?この町の七不思議?」

「ああ、それが実際に起きているらしい」

「何年か前にもマンホールの上に乗ったら他の町に行ってしまうとか、便所で鍋をしている和服の男がいるとか噂になったが今度はなんだ」

「なんでもこの町にはあの世と此の世の境目があるとかで」


今回の話は不思議な話、現実にあるこないか、チュウさんたちの世界にあるかないか、本当にわからない不思議な話 不思議な奇妙な物語です。


「というてもねバカくんそんなの死んだって教えようがない、生きてたら調べようがないじゃあないか」

「確かにそうだがお前ならなんとか調べられるんじゃないかと」

「まぁないこともない」

 そういうとチュウは自室にあるものを取りに行った

「以前竹すぎに頼んで作ってもらったものがある」

「そのトンカチがなぜ今回の話と関係あるんだ?」

 そうチュウがもってきたものはトンカチ、日曜大工とかで使う至ってふつーの代物であった。

「バカよ、わかっていないなこのトンカチの手持ちには竹印が付いている」

「でこれをどう使うんだ?」

「聞けよ」

 チュウはそれと共に持ってきた説明書らしき紙を見つめ読みはじめる

「まずこのトンカチを使うときは帰れる保証つきでお使いください、大丈夫だな」

「ねーだろ」

「まずこのトンカチを構え、使用者の股間めがけて殴ります」

「おいチュウ?その手はまさか、おいやめ、あれ体がうごかない、お前まさか超能力まで使え・・・ああやめ」

 ゴッ・・・・・・




「ここはどこだ?」

「まだどうやらここは天国でも地獄でもなく現世らしいな」

「チュウ!お前どうやって」

「お前と同じ方法で来たんだ、ヨメイドに頼んでな」

「痛かっただろ」

「痛かった・・・」

 二人は男であることのはかなさとまだ男でいられていることにかん・・・

「いやお前男じゃないぞ、よく見て見ろ」

「といってもさっきから鏡とか水たまりに俺の姿が映らないんだ」

「そりゃ死んだからな」

「そうか、って死んだ」

「そうさっきには性転換召天ハンマーっていってな、ハンマーで股間を強打することにより、性転換する勢いで昇天、あの世にいく道具だ」

「なんじゃそりぁ!なぜ女になる必要が!!」

「なんでも目をつけられないようにするためといっていたな」

「目を」

 チュウ曰く、このハンマーを使う=生き返るすべがあるということ、つまり死んだ世界でいろいろやらかした場合、向こう側の何者かに目をつけられる可能性がある、それを防ぐための性転換らしい

「ちゃんと生き返ればもとに戻れるからさ」

「そうか、あっおいチュウ」

「どうし、た・・・あった」

 二人の目には標識がみえていた、地獄の一丁目はこちらと。

「行くか」

「おおよ」

 二人は歩く、というか浮きながら移動を始める

「本当に幽霊って足がないんだな」

「いいや、ただ消えかけているだけだ、そのうち全身が消える、消える幽霊はここにはいていけないものらしい、で消えるとお裁きの部屋に移動させられるらしい」

「いろいろと知ってんだな」

「ああガイドブックに書いてあるぞ」

「ガイドブックなんてあるのか」

 するとまた標識が見えた

 これより先、地獄一丁目

「チュウ地図と説明があるぞ」

 そこにはこう書かれていた

   地獄の一丁目へようこそ

これより先、二丁目、三丁目となります、お静かにお過ごしください

なお、紛れ込んでしまったかたは番外地までお越しください。

「紛れ込んで?」

「俺たちが向かうはここだな」

 チュウさんらはまた歩き出した

「どうやらここは地獄に堕ちたものが暮らすところみたいだな」

「ちゃんと家が用意されているんだな」

 まだ進む

「どんどん暗くなるな」

「見失うなよ」

 進む  



「ここか」

 そこには汚い文字でもののけ番外地とあった

「やけに泣いている霊、うずくまっている霊が多いな」

「それもそうさ」

「あんたは?」

「なぁにここの案内人みたいなもんだよ」

 若い(実際は若くないんだろうけど)青年に話かけられる

「ここ番外地は迷える霊が集う場所父母を探す霊、歩き疲れた霊などが大勢いる、数か所に設置させたかすかな明かりを求めてね」

「へーで紛れ込んだものが向かう場所は?」

「この先の鐘を鳴らしな、それが最後の帰るチャンスさ」

「ありがとう」

「いいさ、ここは暗いし、楽しいこともないからあんたらみたいな女の子と話せてよかったよ」

「ああ、じゃな」


「いない、な」

「?誰が」

「今回ここに来た理由はなあいつ、角道を探すために来たんだ」

「あいつを!?」

「ああ、あのあとあいつは消えた、もしかしたらこういう世界に紛れ込んでいるんじゃと思ったけどいないみたいだな」

「ということはあいつは生きているということになるな」

 するとさっきの人が言っていた鐘があった

「これどうやって鳴らすんだ?」

 その鐘はとても高い所にあった

「あの鐘を鳴らすのはあなたというがこいつはどう鳴らせと」

「浮けるんじゃないか俺たち」

「でも触れないじゃないか」

「確かに・・・」

 さっきの男に騙されたかと思いだしたとき

「まぁとりあえず触ってみるか」

「そうだな」

 鐘の元へと向かうふたり、しかし全然近づけない

「なぜだ、全然近づけないぞ、高いといっても見えるレベルだったのに」

「そうだな、遠すぎる」

「あとちょっとな気がする」

 すると二人は変な場所に出てしまう

そうそれはまるで何もない

                       宇宙のような

心の中のような


ゴーン  ゴーン  ゴーン




「バカ起きろ!!」

「うわっ!」

 チュウに蹴り起こされ目が覚める

「ここは?」

「ここは素晴らしい男戦田ヶ原チュウの家だよ、なんでこんなところで寝ているんだ」

「なんでって死後の世界へ」

「死後だぁ?そんなもんねぇよ」

「あれおかしいなぁ」


     夢かうつつか、さだ知らず、されど時はなり進む。


                                つづく

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