第35話 路上ラーメン人生模様

あなたは屋台のラーメンを知っていますか?

今回はその路上ラーメン店を営む主人、戦田ヶ原チュウさんを紹介します

「始めた理由?家の修復だよ、まだ拾ったべニアいたとかでつぎはぎの状態だからな、はやくちゃんとした大工とかに頼みたいんだよ」

 それなのにこんな屋台を買ったりしてよかったんですか?

「いやこれは貰い物なんだよ、これを使っていた人が引退したからね」

 なるほど

夕方4時頃、チュウさんとそのお弟子さんであるバカさんは仕込みを始める

 なぜチュウさんについていってるんですか?

「預金通帳とハンコを人質に、いや物質にとられて」

 随分とジョウクのうまいお弟子さんを持つチュウさん

スープも麺もすべて自家製だとか、今日は特別にその過程を見せてもらうことに

「すまないが企業秘密なんだ」

 ならなかった。企業でもないくせに・・・ということで隠しカメラを設置し隠し撮りをすることにした

「さてとスープでもつくるか」

 そういうとチュウさんは鍋を持ちどこかへと向かった

5分ほど立つと戻ってきた鍋の中には水が入っていた、どうやら近くの公園の水道水を汲んできたようだ

「えっーと今日はこれでいいか」

 今度は袋を取り出しその中身を入れた、粉末そうまるで粉末スープのような

「混ぜるものがないな手でいいか」

 手を入れてかき混ぜはじめた

確かに企業秘密の作りかたである


18時

屋台は動き始めるようだ、ちなみに隠しカメラによる取材はやめた、麺も同じな答えな気がしたからだ

「よしバカ行くぞ」

「はいはい」

 バカと呼ばれる男が引っ張り始めた

「というかこんな都会のど真ん中なんかで売れるのか?」

「売れる、ここだからこそ」

「どこからくるんだその核心」

 そんな会話をしながら屋台は進む



一時間後

「今日は人がこねーな」

「きたけど」 

 あまりにも変化がないのでスタッフの一人を入れることにした

やらせを放送するのは少々心苦しいがこのまま終わるわけにはいかないのだ

「兄さん儲かってる?」

「ああそっちは」

「ぼちぼちでんな」

 とても放送できるような内容ではない

このあともつまらない会話と沈黙が続いた

そこで話のタネをけしかけることにした

「実はね兄さん」

「ここでは俺の事マスターって呼べと言っただろ」

「初耳ですが」

「俺もうだめなんですよ、もう死んじゃおっかなぁ」

 さて主人はどう彼を説得するのか

「じゃあ死ねば」

 説得しなかった

「えっそんな」

 さすがに動揺するスタッフとバカ

「死にたいだろ、ほらナイフ、あと縄もあるぞ」

 止めるどころか進めてきた

「俺に相談してんじゃねーよタコ、それともなにかただのかまってちゃんだったのか?」

「いやそのはい」

「最近多いんだよね、そういう奴ほんとやめてほしい。次言ってたら俺がお前を殺すから」

 殺人予告までした

「ほかの悩みなら聞いてやるよ」

 箸で指をさしながら話してくる

「そうですねーないです」

「ねーのかよ」

 ・・・・・・・・・。


最後にあなたにとってラーメンとは

「いやなんとも思わない」




数日後

「今日俺たちのでた番組が放送されるらしい」

「あんなのが放送されるのか、世も末だな」

「あの、もう時間ですけど」

 ~楽しい山田の世界~

「これに出たんですか?」

「いやん?」

 よく見るとしたにこう書かれていた

”本日放送予定でした今日のあの人は諸事情により終了しました”


「・・・誰も得しない」

                         続く、よ


 

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