第24話 戦田ヶ原チュウ エビフライに合う!

物語はいつだって突然だ

そして誰かの何気ない一言で始まるのだ

 今も、昔も


現在

「そういえばさ、チュウとナナシの出会いは聞いたけどエビフライさんとチュウの出会いはどうなんだ」

 平日の午前、いつもの家の中でバカがチュウに向けて一言放つ

「知りたいのか」

「うん、暇だし」

 一人は真剣に聞いているのだろうがもう一人は適当に答えている

「よし、教えようあの夏のことを…」

 こうして突然のチュウさん過去編part2が始まったのであった



過去

「暑いなぁ、暑い、暑いよーノッポさん」

「夏だからな」

「そんなぁ~」

 平日の午後、二人の男が仕事もせずにぶらぶらと町を歩いていた

一人は長身の男、もう一人は蟹股で歩くかねにうるさそうな眼付をした男

「ほら見てよ、あまりにも暑いから道路で自殺しようとしている人までいるよ~それくらい暑い熱いなんだよ」

「自殺じゃなくてただ道に寝てるだけだろ…って助けに行かなきゃ」

 ようやく今自分がすべきことがわかった男、もう一人はわかっていないというか関わりたくないだけのようだが

「おいあんた大丈夫かってなんだこの恰好映画俳優かなにかか?」

 その恰好は和服で懐には刀が差してあった、頭には坊さんがかぶっているような

藁の三角形の笠をつけていた

「気絶してるみたいだぞ、しゃべれそうにないみてぇだ」

 そういいながら彼を家に運ぶべく担いで持っていこうとしたとき地面に文字がみえた エビと

「エビ?」



「いや~モグ助かった、旨い。まさか空腹でうぐっ、倒れるとは」

「食うか喋るかどっちかにしろよ」

 あのあと男を二人で担ぎ上げ家に上げ、ノッポさん作の飯を(白米とみそ汁)出したら飛びついて食いだした

「で、あんただれなんだ、なぜあんなところで」

「まぁ確かに疑問があるだろう、一つ一つ答えていこう」

 みそ汁をすすい食べ終えると手を合わせ口を開く

「我が名はエビフライ、この恰好は別に俳優とかそういうのではなくて私の実家のほうで子供のころから着ているものだ」

 …

「エビフライですか」

「そうだ、当て字ではなく、カタカナでエビフライと書く」

 世界の広さをまた知った二人

「でなんであんなところで」

「名前のことは聞かなくていいのか?100人中100人が聞いてくるのだが」

「どうせ、エビフライが好きだから~とかだろ」

 適当な憶測

「まぁ大体正しい。私が3才のころ夕飯で初めて出されたエビフライのうまさに感激して数十年後この名に改名した」

「そうか、でなぜあんなところに」

 そう本題はなぜあんなところに倒れていたか、もしかして悪の組織に襲われたとかだったらまた面倒なことに…

「あああれはただの空腹だ」

「あっそ」

 考えすぎだった

「次に説明すべきはこの刀かな?私の父は剣術をやってな、私がそれを自己流にアレンジしたのだ、その名はも”せん”」

「「せん??」」

「そう”せん”○○せんと技の名前を放ち敵を抜刀する。この”せん”を広めるべく大都会東京へと進出したのだがここに来るだけで金が底をついてしまったのだ」

「ふ~ん」

「チュウお前なにか企んでいるな」

 そういうとチュウはエビフライに近づきある提案をする

「じゃあその金を稼ぐためにここで働くのはどうだ?」

「ここでか?ここはなんの仕事場なのだ」

「まぁあのなんでも屋みたいなやつだ」

 一瞬なやんだあと

「まぁ恩をかえる一環として働かせてもらおう」

「じゃあよろしくなエビフライさん」

「ああ」

 そういうとエビフライさんとチュウはがっちりと握手をした



「そんなことが」

「いや~懐かしいな、で結局ここにいっぱなしでエビフライ作ってんだよな」

 ふとバカはあることに気がつく

「そういえばエビフライさんはその頭の笠をなんでとらないんだ」

「ああそれは」

 そういうとエビフライさんは笠をとるそこには

「エビフライ・・・・・」

 頭の上にエビフライがのっかってていた

「非常食」




かなりどうでもいいことを知って得したような損したようなよくわからない空気に包まれるバカ君であった

                                 つづく

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