第4話 愛することが大切じゃ 

「終わったねー誘拐事件」

「果てしなくしょうもない結末だったけどな」

「うん、それはいいんだよ」 

 バカは左に眼を向ける。

「この人誰?」

 バカが指さす先には一人の男がエビフライを食べていた。

 恰好はまさに侍、現代まで生き残ってきたかのような侍姿だった。おまけに腰には短刀つまり刀をさしていたのだ。

「あのー?あなたさまのお名前はー?」

 仕立てにでて様子をうかがうおとこバカ、すると彼は箸でつまんでいたエビフライをバカに向かって差し出した。

「いや別にエビフライが食べたい訳じゃなくお名前を」

「それが名前だよ」

 後方より来る声。

「は?」

「だからそれが名前、その人”エビフライ”っていうんだ」

「・・・・・エビ、フライ???」

 ゴクンと飲み込み、彼ーエビフライは口に入っていたものを飲み込んだ。

「そのとおり、我が名はエビフライ、元の名を土方刀銭郎と申す」

「こいつは昔からの旧友でな」

「いや知りたいことは特に」

「わかっておる、私がなぜエビフライと名乗っているか知りたいのだろう

 教えてやる、しかし長くなるぞ」

「わかりました、とりあえず聞かせて下さい」

 そうバカが言うとエビフライさんは箸をおいて腕を組み話をはじめた。

「そうあれは私が5になる頃、エビフライというものを両親に始めて食べさせてもらった。衝撃だった。こんなに旨い物があるのかとそれから私は常にエビフライのことばかり考えていたそして私は自分の名をエビフライへと改名し、今へといたる訳だ」

「そんなに長くなかったっすね」

 バカのセリフを無視しチュウは続ける。

「この人は時々遊びに来るから」

「よろしく頼むぞバカ」

「そーですか、というかあなたにもその名前で定着しているんですね」

 こうしてバカの変人リストにまた一人追加された、というか刀をさしている理由は謎のままか、教えてくれないのかと心の中で思うバカ君なのであった。チャンチャン。

                           つづく


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る