第3話 夕暮れと私

 全くほんの出来心だった。迂闊だった。どうかしている。

彼女だって困っていたじゃないか。第一、行かないでなんて言われたら止まるべきだったのだ。心なしか体の内側が痛む。当然の報いだろう、してはいけないことをしたのだから。今はこの痛みに自己を重ね溺れればいい。橙色に満たされた部屋の中で昨日の言葉を口の中で繰り返す。苦々しい中に甘さを感じ気だるさが残る。寝返りを打つも壁を見つめる気分ではないし、そもそもそのような行動をとったこともない。

 行かないで

 行かないで

 仮に彼女がその言葉を私に向けて発していたとしよう。それで一体私の行動をなぜ止める必要があったというのか。彼女のことは前から知っていた。だが、彼女がどうして私のことを知っている。やめて。嫌。私に入ってこないで。

 私の中を彼女が押し広げてくる。どんどん彼女が私を。そんなこと許されない。そんなことさせない。

 誘ったのは私だ。もう戻れない。

 体が熱くなったのはきっと陽に当たりすぎたからだろう。疼いているのはどこなの。

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